映画「赤と白とロイヤルブルー」個人的な感想

 

こんにちは、みさとです。今日は先日観たAmazonオリジナル映画「赤と白とロイヤルブルー」を観て思ったことを備忘録として書き記しておこうと思います。

 

赤と白とロイヤルブルー」はアメリカの大ヒットロマンス小説が原作のAmazonオリジナル映画です(プライム会員になると観れます)。主人公はアメリカ大統領の息子とイギリス王室の王子で、いろいろあって仲の悪いふたりが惹かれていき──みたいな定番ストーリー。クィアを取り扱ったロマコメという立ち位置の映画だと思います。詳しいあらすじについては公式サイトなどを参考にしてください。

告白まで30分という展開の速さ

この映画を観て思ったのは、ロマコメとクィア要素を含む話を2時間で成り立たせるのはかなり難しかったんじゃないか? ということです。

そもそも、ロマコメ(日本だとラブコメ呼ばれることが多い)って何? という話になるんですが、一番わかりやすい重大な要素は「視聴者がときめきを得られること」だと思います。ときめきとは、観ていて胸がキュンとする、切なくて、焦ったくて、クゥ〜と唸ってしまう、そういう要素のことだと理解しています。

では、ときめきはどのようなときに得られるのでしょうか? 一番王道で鉄板なのは「すれ違うふたりがくっつくまで」です。一般的な少女漫画は全てそうですし、最近の漫画でわかりやすいタイトルだと「かぐや様は告らせたい」とかもそう。私の大好きなNetflixオリジナルドラマ「ブリジャートン家」なんかはまさにそれです。

すれ違うふたりがくっつくまでに摂取できるときめきというのは計り知れないもので、古今東西どのラブコメもそこを軸として展開されているように思います。

では、赤と白とロイヤルブルーにおける「すれ違うふたりがくっつくまで」はどうだったのかというと、開始から33分の時点で告白、41分の時点でくっついています。41分と聞くとそれなりに長さがあるように思えますが、体感は一瞬です。顔を合わせて、いくつかのシーンがあって、速攻セックスします。もはや走馬灯レベルの速さ。

アメリカ大統領の息子とイギリス王室の王子っていう最強の設定で、なんでこんな……こんなさくっとセックスしちゃってさあ!! もっと付き合う前のふたりの質感を見させてくれよ!!! と悔しく思ったのですが、おそらく想いが通じ合った後に訪れる困難を描き切るためには、くっつくまでのパートを圧縮する必要があったのかなと思います。

想いが通じ合った後に訪れる困難パートでは、苛烈を極める大統領選であったり、クィアとしての立ち位置や、前時代的な英国王室など、わかりやすく描かれていてとても良かったです。映画としてはきちんとまとまっていて、評価が高いのも頷けます。

しかし、ときめき過激派としては、思いの通じ合ったふたりにどんな困難が訪れようが、そんなもんは寄り添い支え合って生きていけばいいだけの話で、そこに胸キュン、意外性、ときめきはありません。ありませんは言い過ぎだとしても、ドキドキの質感が変わってしまうことは確かです。

付き合う前のふたりって、独特の質感があるじゃないですか。憎たらしいくせに人懐っこい笑い方、案外可愛い歯並び。こちらを見つめる視線の意味が分からなくて、でもなにも意味がないとは思えなくて、何も言えないまま背に汗をかくあのなんとも言えない焦ったさみたいなもの。そういう指先からこぼれ落ちるようなときめきがもっとあったらなあ……とは思わずにいられませんでした。

総評

再三言いますが、この映画を2時間で成り立たせるにはおそらく色々な要素を削り落とす必要があり、削り落とした上でここまできれいにまとめたのはすごいことだと思います。

私はときめきに対する執着が極まっているため、ふたりの想いが通じ合ったコンテンツに対する興味がかなり薄いという問題を抱えており、赤と青とロイヤルブルーのストーリーがあまり刺さらなかったのですが、クィア要素を含んだロマコメ映画としての評価は高いだろうなと思いました。

めちゃくちゃ良かった〜! の声が多い映画なので、気になる方はぜひ観てみてください。また、原作がかなり重厚で面白いという話を聞いたので、時間のあるときにそちらを読んでみようと思います。

 

 

 

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