私の好きな、わがままでかわいい女

わがままでかわいい女の話をします。

「わがまま」は「かわいい」に掛かっている言葉ではなくて、わがままかつ、可愛さも兼ね備えている女のことです。わがままな女も、可愛い女もごまんといると思うんですけど、人を惹きつけてやまない「わがままでかわいい女」は一握りしかいないんじゃないかな。今日は麒麟特製ホワイトサワーを3本飲んだので、わがままでかわいい女の話をします。

私にとってのわがままでかわいい女は、高校の同級生の女です。

彼女の外見から説明すると、身長は低いけど足は長くて、色が白くて、おっぱいが大きくて、目がめちゃくちゃでかい。顔はわりと深キョンに似ている。鼻の低さを気にしてるけど、形が整っているので気にならない。髪の長さはそのとき付き合っている男の趣味によって変えているみたいで、ロングが似合うと思っていたけど、彼女が大学生のときに付き合っていた社会人の趣味でショートにしたとき目を見張るほど似合っていたので、かわいい女ってなんでも似合うんだなって知りました。

性格の話で言えば、とにかく人の顔色を読むのがうまい。相手の機敏を手を取るように把握して、話を合わせて行く才能には天性のものがありました。大学生の頃はよく一緒に合コンに行ったけど、彼女がいればどんなクソな会でも盛り上がる、最終兵器みたいな女。おっぱいがでかくて顔が可愛くて話がうまい女に男性陣は骨抜きだし、女の子側への気づかいも完璧にできる女なので、空気が悪くなることが一切ない。あのときはすげ〜便利な女だなと思ってたけど、今思えば本当にすごい。男にも女にもいい顔して100点取れる巨乳の女って早々いないよ。

そんな女だけど、高校のときはそんなにモテるわけじゃなくて、メガネをかけた地味な子だったんです。昔から胸はでかかったけど。封神演義が好きだって言ってた。私とは同じ理系クラスで、2人とも成績悪かったから、部室に0点のテスト張り出して笑ってた。名古屋でも屈指の底辺高校で、部室に0点のテストが並ぶの、めちゃくちゃ面白かったな。そんな彼女が何をきっかけか、急にダイエットし始めて、女性誌を漁るように読んで、気づいたらめちゃくちゃかわいい女になってた。高校の同窓会で、かわいくなりすぎた女に男性陣も女性陣も言葉を失ってたの面白かったな。漫画じゃん、と思った。

かわいくなってからの彼女の記憶は、いつでも男と一緒にいます。彼女がかわいくなってから最初に付き合った勇とかいう男の子とはよく覚えていて、彼女と勇と私の3人で一緒に国際センターの中華ランチに行った。わがままでかわいい女は、自分の男を人に紹介することが好きなので。自分の“友人”に恋人を紹介するということが、付き合ってる男への献身だと思ってる節がある。

わがままでかわいい女が通う大学で、出席番号が一個後ろで仲良くなったとかいう勇は、純朴で、真面目で、献身的な男で、普通にいい男だった。わがままでかわいい女は「勇の遅漏の巨チンには誰も勝てない」って言ってた。わがままでかわいい女はセックスが好きだった。高校で遊んでない女ほど、痴女になるのなんでなんだろうな。わがままでかわいい女は、仰向けになると自分の巨乳が左右に流れてしまうのをめちゃくちゃ気にしていた。巨乳ならではの悩みにゲラゲラ笑って、二の腕で寄せたらいいじゃん、と言ったのを覚えています。

勇とはなんで別れたんだっけな。結構長く付き合ったけど、なんかで別れた。その次の彼氏は、かわいくてわがままな女とバイト先で一緒だった亮介。名駅でかわいくてわがままな女と飲んでて、iPhoneの充電がなくなったので「充電器欲しい」って言ったらかわいくてわがままな女がナンパしてきた社会人に充電器買わせて「はい、みさとちゃん。充電器だよ」って渡してくれたことがあったんだけど、その日の深夜に、かわいくてわがままな女を車で迎えにきた亮介を初めて見た。ずんぐりむっくりした髭面の男で、ユニクロのスエットにクロックスを履いて軽を運転して名駅までかわいくてわがままな女を迎えにきた。やべー男と付き合ってんな〜って笑ったら「でも巨チンだから」って言われてお前の巨チン判定なに?巨チンなだけで全部許すじゃんつったら「巨チンなこと以外に大事なことある?」って返されてないって言った。20歳だった。巨チンが全てだった。

わがままでかわいい女は幾多の男と付き合って、その全てを不幸にした。わがままでかわいい女は、頭の回転が異様に早くて、自分の“かわいい”を最大限に生かした媚をぶつけてくるから、わがままでかわいい女に関わった全ての男が落ち、翻弄され、ボロボロになって終わった。普通の女なら付き合った男といい感じにゴールインするのかもしれないけど、彼女には謎のマイルールがあって、そのマイルールに反すると癇癪を起こして物を投げる。物を投げられて、我慢する男も、泣く男も、キレる男もいたけど、彼女の“かわいい”の前には誰もが無力で、彼女のマイルール、その法によって裁かれ、よくわからん理由で振られた男はだいたい病んだ。病んだ結果マルチに嵌った男もいた。彼女から別れ話を聞くたびに「えっなんでそんなことで別れんの?」と思ったけど、めちゃくちゃかわいい顔をふにゃふにゃにしながらストローで酒を酒を飲む女の前では全てが無力。わがままでかわいい女は酒に弱くて、カルーアミルクを頼んで顔を真っ赤にする女だった。

女の話はめちゃくちゃ面白かったので、私が名古屋から東京へ出てからも年に1回は話を聞いていたんだけど、ついに結婚したい本命ができたという話が流れてきた。勤務先の上司を3人食ったらしいんだけど、その中の一人、バツイチの営業部長と結婚したいけどしてくれないという話だった。名古屋に帰ったときに集合したイタリアンのお店でその営業部長を紹介され、今までで一番まともな男たっだので、かわいそうになった。営業部長の隣に座るわがままでかわいい女はデレデレしている。営業部長は戸惑いの滲む顔をしていたけど、ずっと横目でかわいい女のことを見ていた。かわいいよね、わかるよ。絶対やばい女なのにね。コースで出てきたチーズフォンデュをわがままでかわいい女が掬って、営業部長に食わせている。写真を撮った。営業部長は奢ってくれた。

それから半年ぐらい経って、わがままかわいい女がディズニーシーに行きたいというので一緒にシーへ行った。わがままでかわいい女はいつでもVネックのニットにタイトスカートを合わせて高いヒールの靴を履いていたので、あんまり歩かないつもりで予定を立てていたのに、似合わないスニーカーでやって来た。わがままでかわいい女は空気が読めるのでTPOをしっかりと守る。

アトラクションを待ちながら、営業部長と結婚したいのに折り合いがつかない話を4時間ぐらい聞かされて、営業部長に同情した。かわいくて賢くて人を食うタイプのやべえ女に言い寄られて、絶対関わっちゃいけないってわかってるんだけどかわいいしぐぬぬってなってる営業部長の姿がありありと浮かんだ。

かわいくてわがままな女はひとしきり怒った後、スカットルのスクーターに大笑いして、3回乗った。チュロスを制覇するって言い出して、気に入らない味のチュロスを私に食わせた。ファインディング・ニモのオレンジ味のチュロスはかわいくてわがままな女がいうほど悪くなかった。

上機嫌のかわいくてわがままな女に腕を組まれて、いい匂いがして、男じゃなくてよかったなと思った。男だったら、絶対好きになってた。破滅だ。「風船ほしいね」なんて笑う顔がめちゃくちゃかわいくて、いや、男じゃないけど好きじゃんと思った。好きなんだよな、ほんとに。

わがままでかわいい女を家に連れて帰ったら、オタク気質の同居人とラブライブ!の話で盛り上がっていた。わがままでかわいい女は、漫画も好きなのでドラゴンボールの話も完璧にできる。ヤムチャが地面にめり込んでいるポーズもやってくれる。想像してみてほしい、深キョンに似た小さくてかわいい女が、ヤムチャポーズしてくれるのを。かわいいじゃん。わがままでかわいい女が名古屋へ帰宅した後「あの子次いつくんの!?!?呼んで!!!!」と同居人がうるさかった。わかるよ。

かわいくてわがままな女と知り合って10年がたった。17歳の女より、27歳の女の方が可愛い。きっと37歳の女はもっと可愛い。

営業部長とは別れたと聞いた。次はどんな男と付き合うのかな。好きな女の恋路を、いつだって楽しみにしている。

朗らかな暮らし

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